症例紹介

「抜歯」と診断された奥歯を残す ― 精密な根管治療の症例

Before before
After after
年齢・性別40代女性
治療期間約1ヶ月(来院回数 2回)
費用根管治療(18万円+税)+被せ物(20万円+税)

症例

他院で「この歯はもう抜くしかない」と診断され、不安なお気持ちで来院された患者さんがいらっしゃいました。

今回は、抜歯と判断された上の奥歯を精密な根管治療によって残すことができた症例をご紹介いたします。

患者さんについて

40代の女性の方です。他院で上の奥歯について抜歯が必要と診断され、ご自身でセカンドオピニオンを探すなかで当院へお越しになりました。

ご来院のきっかけと、お悩みの内容

来院された時点では、歯ぐきの腫れや膿、そして何もしていないときにもズキズキと響くような痛みに悩まされていらっしゃいました。

他院にて根管治療を行なったものの症状が改善せず抜歯と宣告されたものの、できることならご自身の歯を残したいというお気持ちが強く、別の歯科医院の見立ても聞いてみたいとお考えになったそうです。

検査でわかったこと

当院ではまず、歯科用CTを用いて歯の根の状態をくわしく確認いたしました。その結果、いくつかのことが明らかになりました。

一つめは、過去の根管治療の際に処置がなされていない根管が残っていたことです。上の奥歯は根の数が多く形も複雑なため、肉眼では見つけにくい細い管が残ってしまう場合があります。

二つめは、根の先に膿の袋とも呼ばれる病変ができていたことです。これが歯ぐきの腫れや痛みの原因と考えられました。

三つめは、以前の根管治療で取り除ききれなかった細菌や汚れが、根の内部に残っていたことです。

これらが重なったことで、症状がなかなか落ち着かない状態になっていたと考えられます。

ご提案した治療と、その進め方

検査の結果をふまえ、抜歯ではなく、根管治療をやり直す「再根管治療」をご提案いたしました。見つかっていなかった根管をしっかりと処置し根の内部の細菌を取り除くことができれば、歯を残せる見込みがあると判断したためです。

治療では、精密さを高めるために次の三つを用いました。

一つめは、歯科用の顕微鏡であるマイクロスコープです。肉眼では見えにくい細い根管を、拡大して確認しながら処置いたしました。

二つめは、歯科用CTです。根の本数や形をあらかじめ立体的に把握することで、見落としを防ぎました。

三つめは、ラバーダムと呼ばれるゴム製のシートです。治療中に唾液や細菌が根の中へ入り込むのを防ぐために使用いたしました。

↑治療開始時の状態

↑治療中の状態。手付かずの根管を発見し、物理的清掃と化学的洗浄を行いました。

治療の経過

根管治療そのものは、2回から3回の通院、期間にしておよそ1ヶ月で完了いたしました。その後はすぐに被せ物を入れず、経過を慎重に見守りました。

治療からおよそ2ヶ月後、あらためてCTで確認したところ、根の先にあった病変が縮小していることがわかりました。根の内部が清潔に整い、体本来の回復力がはたらいているあらわれです。これを確認したうえで、ジルコニアという素材の被せ物を装着し、治療を終了いたしました。

さらに1年後の定期検診では、当初みられた大きな病変がほぼ消失していることを確認できました。

↑治療前の状態

↑治療後2ヶ月の状態

↑治療後1年後の状態

治療を終えて

治療を終えられた患者さんからは、抜歯と言われていた歯を残すことができて安心した、というお気持ちをお寄せいただきました。

治療にかかった費用

今回の治療はすべて自由診療(保険適用外)で行いました。費用は次のとおりです。

精密根管治療 18万円(税別/税込19万8000円)
被せ物(ジルコニアクラウン) 20万円(税別/税込22万円)
合計 38万円(税別/税込41万8000円)

治療に伴うリスク・注意点について

再根管治療には、次のようなリスクや注意点がございます。治療をご検討の際は、あらかじめご理解いただけますようお願いいたします。

一つめは、精密な治療を行っても症状が改善しない場合があることです。その際は、あらためて抜歯が必要となる可能性があります。

二つめは、治療後に一時的な痛みや違和感が生じる場合があることです。多くは数日から数週間でやわらいでまいります。

三つめは、神経を取り除いた歯は、神経のある歯に比べてもろくなる傾向があることです。そのため、将来的に歯が割れてしまう可能性があります。

なお、ここでご紹介した治療の経過や結果は、この患者さんお一人の症例によるものです。歯の状態やお口の環境には個人差があるため、同じ治療がすべての方に同じ結果をもたらすとは限りません。

担当医からのメッセージ

他院で抜歯と診断された歯であっても、精密な検査と治療によって残せる可能性が残されている場合がございます。今回のように、見つかっていなかった根管が原因であった症例では、その管を適切に処置することで状態が大きく改善することがあります。

歯を一度失うと、元どおりに戻すことはできません。だからこそ、抜歯という大きな決断をされる前に、別の歯科医院の見立てを聞いてみることも、ひとつの選択肢としてお考えいただければと思います。

ご自身の歯を残すことには、かけがえのない価値がございます。歯のことでお悩みやご不安がございましたら、どうぞお気軽にご相談くださいませ。